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若手指揮者垣内悠希さんのコンサートを聴きに行ってまいりました。

MESSAGE

モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

京都コンサートホール

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指揮者の垣内悠希さんと

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京都ライトハウスチャリティコンサートというコンサートを聴きに京都コンサートホールへ行ってまいりました。 指揮者は今人気上昇中の若手指揮者の垣内悠希さんです。

垣内悠希さんは2011年ブザンソン国際指揮者コンクールで優勝されたウイーン在住の俊英の指揮者の方です。 東京芸術大学楽理科を卒業された後、ウイーン音楽大学指揮科を首席で卒業された今その将来が最も嘱望される指揮者のお一人です。

ウイーンでいかに研鑽を積まれていらっしゃるかが音楽を通して内面から伝わってまいる指揮で大変深い感銘を受けました。 これからも世界の檜舞台で活躍なさっていかれる事と存じますが、楽しみにさせて頂いております。

さてプログラムですがスメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲、シベリウス:「ヴァイオリン協奏曲」、ドヴォルザーク交響曲第9番でした。 ヴァイオリンのソリストは吉田南さんです。

その中でシベリウスの「ヴァイオリン協奏曲」とドヴォルザークの「交響曲第9番」について書いて見ようと思います。 

シベリウス ヴァイオリン協奏曲 二短調 作品47>

シベリウス(1865~1957)はフィンランドを代表する作曲家ですが、この「ヴァイオリン・コンチェルト 二短調 作品47」は1903年に作曲され翌年ヘルシンキで初演されました。 しかし評判が良くなく、初演後初めてブラームスのヴァイオリン・コンチェルトを聴いたシベリウスは、そのシンフォ二ー的な響きに感銘を受け1905年に改訂稿を書き、現在はこの改訂稿が演奏されております。

このコンチェルトは独奏者の名人芸的な技巧を誇示する協奏曲というよりは、オーケストラと独奏者が対等に渡り合う室内楽的な書法が垣間見え、シベリウスの比較的初期の作品(ロマン派的)ではありますが、シベリウスの以降の作風(古典派的、印象派的)を暗示する存在の作品となっております。

しかしヴァイオリニストを目指していたシベリウスらしくヴァイオリンの難しい技巧も随所にあり演奏は容易な作品ではありません。

第1楽章の冒頭はシベリウス自身が「極寒の北の空を悠然と舞う鷲のように」と言っておりますが、そのスケール感は並ぶ作品のないくらい壮大な楽章です。

第3楽章はティンパ二ーや弦の刻むリズムに乗りながら、ヴァイオリンがその技巧性を発揮して、華やかな主題とリズミックな主題が繰り返され華麗に終わります。

第3楽章をチャイコフスキー・コンクールの覇者の♫諏訪内晶子さんの演奏♫にリンクしてお届け致します。

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ドヴォルザーク 交響曲第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」>

交響曲第9番はボヘミア出身のドヴォルザーク(1841~1904)が1893年に作曲した最後のシンフォ二ーです。

ドヴォルザークは1892年ニューヨークのナショナル音楽院の院長で招かれ1895年までアメリカに滞在します。 その間に作曲された代表的な作品が弦楽四重奏曲アメリカ」やこの交響曲第9番です。

ドヴォルザークアメリカの二グロ・スピリチュアルやインディアンの音楽に刺激を受けた事は確かだと思いますが、ドヴォルザークは友人の指揮者に「私はアメリカの旋律の精神を書こうとした。」と手紙に書いており、故郷ボヘミアへの郷愁と相まってこの当時は傑作が多く作曲されております。

第2楽章のイングリッシュホルンによる主題は「家路」として日本でも広く知られております。

<参考ブログ>

ドヴォルザーク 弦楽四重奏曲第12番、第13番

中学生の時訪れたプラハについて

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ドヴォルザーク 交響曲第9番~クーベリック指揮、チェコフィル・ハーモニー