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チャイコフスキー ピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」 イ短調 作品50/Tchaikovsky Piano Trio a-moll Op.50

チャイコフスキー(1840~1893)のピアノ三重奏曲作品50は作品の献辞から「偉大な芸術家の思い出に」という副題で知られております。

偉大な芸術家というのは、チャイコフスキーの親友のニコライ・ルビンシテイン(1835~1881)のことで、この作品はニコライ・ルビンシテインへの追悼音楽として作曲されました。

ニコライ・ルビンシテインはロシアの音楽教育者、ピアニスト、作曲家、指揮者ですが、アントン・ルビンシテインの弟で、チャイコフスキーの親友です。  1866年9月1日にモスクワ音楽院を開設し、初代院長を務めました。 存命中は、最も偉大なピアニストの一人に数えられていましたが、死後は兄アントン・ルビンシテインの名声の陰に隠れております。  音楽的価値観や演奏様式は兄に比べると古典的なものでした。 チャイコフスキーにピアノ協奏曲第1番を書かせたものの、書き直しを命じ初演をしなかったためチャイコフスキーハンス・フォン・ビューローにその作品を献呈し初演を委ねたという有名な話があります。 しかしその後ニコライ・ルビンシテインは評価を改めモスクワ初演では指揮をし自身も良くピアノ独奏を行ったという話です。 またピアノ協奏曲第2番はニコライ・ルビンシテインに献呈されましたが、彼の死により初演は叶わなかったようです。 ちなみにバラキレフも代表作の《イスラメイ》をニコライに献呈しております。

故人を偲んで室内楽曲を作曲するというロシア音楽の伝統は、アントン・アレンスキーからラフマニノフを経て、ショスタコーヴィチシュニトケに受け継がれております。

2つの楽章で構成されておりますが、第2楽章の最終変奏とコーダは長大で全曲を演奏すると約50分近くになります。

第2楽章はチャイコフスキーのピアノ作品の中で最難曲と言われますが、追悼作品である事から全曲を通して全体的に荘重な雰囲気で人気の高い作品です。

チャイコフスキー ピアノ三重奏曲♫~リヒテル

チャイコフスキー ピアノ三重奏曲♫~キーシン

チャイコフスキー ピアノ三重奏曲♫~アルゲリッチ

チャイコフスキー ピアノ三重奏曲♫~ギレリス

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