ラヴェルの鏡にはグリッサンドが多く出てまいりますが、グリッサンドは何度も繰り返し練習するというわけにはまいりません。
(グリッサンド~鍵盤を指の背側で一文字を書くように演奏する奏法)
皮がむけて血が出ますので、イメージトレーニングをして、本番で決めなくてはいけません。
私は小さい時からこのグリッサンドが得意だったので、今回もあまり大きな苦労はありませんでしたが、何気なく演奏されるグリッサンドの美しさは実は結構難しいものなのです。
またラヴェルの曲は聴衆の方にはおとぎ話のように聴こえ、絵本をめくるような楽しさがありますが、演奏者には暗譜の大変な作曲家なのです。
弾いている途中で暗譜が突然おかしくなる事が良くあり、それを防ぐための練習がかなり必要な作曲家です。
またラヴェルのスカルボや道化師の朝の歌がプログラムに入っていると調律師の方が緊張されるそうですが、先日の演奏会でも軽めの調律で大変弾きやすかったです。
このように演奏会には客席から見ているだけでは分かりにくい裏話が多くあります。