CDに載せる楽曲解説より
CDに載せる楽曲解説より抜粋です。一般的には、音楽学者の方に書いてもらう場合も多いですが、自分で書いた方が演奏者の顔が見えるとのアドバイスもあり、自分で、プログラム内容について書きました。
即興曲 作品90 D899
(Impromptus Op.90 D899)
第2番
短調による中間部を持つ3部形式で出来ている。3連符による繊細なパッセージで構成される両端部は、流麗で、転調による色彩の変化が音楽に陰影を与えている。
中間部はロ短調に変わり、ドラマティックである。Coda(終結部)では、再びロ短調に転調されるが、最後は変ホ短調で力強く終わる。
第3番
第3曲は、変ト長調による抒情的な性格を持つ曲である。上声部にリートのような素朴な旋律を置き、旋律の持つリズムが、反復を繰り返し、全体の統一を図っている。気分的にドラマティックに高揚するところや、あきらめに近い心情の吐露など、転調によるシューベルト特有の語法が見られる。
第4番
短調による下降音型によるアルペジオで始まり、長調、短調への転調を繰り返しながら、
中声部や上声部にシューベルトらしい美しい旋律が流れる。中間部では、一転して、短調による雄弁で抒情的な雰囲気に変わる。
バッハ=ブゾーニ Bach=Busoni
Chaconne
バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番BWV. 1004の最終楽章≪シャコンヌ≫を、イタリアの作曲家ブゾーニBusoni,Ferruccio(1866~1924)がピアノ用に編曲した曲である。
「シャコンヌ」とは、バロック時代のスペインに由来する舞曲で、3拍子の荘重なリズムを特徴とし、バス声部で短い主題が何度も繰り返され、その上に対位主題が変奏されながら繰り返される構成を持つ。
オルガニストとしても活躍したブゾーニらしく、原曲の持つバッハの神聖な宇宙を残しつつ、オルガンのような重厚な響きを持つ曲となっている。19世紀に流行した編曲の持つ華麗さをも合わせ持ち、原曲以上の魅力を持つ作品となっている。
映像第1集
Image 1ère série
Ⅰ:水の反映
Reflets dans l’eau
水面に映る自然の現象や、水面のゆらめき、きらきら反射する光を、漂うような平行和音の連続によるソノリティ(響き)によって描いている。ドビュッシーが印象主義的な絵画的作風を初めて確立した作品である。光の反射により、きらめく水の変容する姿をアルペジオによって発展させていく。
ラ・ヴァルス
La Valse
もとは1920年に2台ピアノ版、オーケストラ版のために初演された曲で、併行してラヴェル自身によってピアノ・ソロ用に作曲された。舞台は19世紀中頃のウィーンの宮廷ワルツをイメージして作曲されている。
冒頭では混沌とした渦巻く雲の中から、ワルツのリズムとメロディーが浮かび上がってくる。ワルツは様々な表情を変えながら現れる。次第にそのワルツは高揚し、後半では前半冒頭と同様、もとの静けさに戻る。鍵盤を駆け巡るようなグリッサンドによる装飾を伴いながら、次第にピアノ1台でフル・オーケストラのような響きによる迫力と輝きを増し、最後は、力強い連打により終わる。