ベートーヴェン交響曲第9、6、7番(リスト/トランスクリプション)
MESSAGE
フランツ・リスト(1811~1886)はドイツ・ロマン派のピアニスト・作曲家で、「ピアノの魔術師」とも言われていますが、1822年ウイーン音楽院でツエル二ーに師事し、翌1823年には老ベートーヴェンにコンサートで会いそのピアニストとしての才能を誉められています。 またリストの先生のツエル二ー(1791~1857)はオーストリアのピアノ教師、ピアニスト、作曲家ですが、10歳でベートーヴェンの弟子となり, 1812年にはベートーヴェンのピアノ協奏曲「皇帝」のウイーンでの初演のソリストを務めています。 またツエル二ーの先生のベートーヴェン(1770~1827)はウイーン古典派の作曲家ですがハイドンに認められたハイドンの弟子でした。
このような系譜からリストはベートーヴェンを大変尊敬しており、ベートーヴェンの交響曲9曲全てをピアノ・ソロ用に編曲しております。 またベートーヴェンの交響曲9番とピアノ協奏曲の3,4,5番は二台ピアノ用にも編曲しております。
リストの時代は現在のようにCDやメディアでベートーヴェンのシンフォ二ーを楽しむという事はできませんから、それをひとりでも多くの人に知ってもらうために、ピアノでも弾けるように作曲したのではないかと思います。
ベートーヴェン交響曲 第9番(リストによるピアノ・トランスクリプション)~シプリアン・カツアリス
https://www.youtube.com/watch?v=Ja7ZkvP8Nrk
ベートーヴェン交響曲 第9番 二短調 作品125 「合唱」~フルトヴェングラー指揮、バイロイト祝祭管弦楽団・・・1951年ライヴ
https://www.youtube.com/watch?v=dHDXdbSWu0E
ベートーヴェンが1824年作曲したものです。
ベートーヴェン交響曲第9番(リストによるピアノ・トランスクリプション)
ベートーヴェン交響曲第9番~フルトヴェングラー指揮、バイロイト祝祭管弦楽団)
ベートーヴェンの交響曲第9番はあまりにも有名でいまさらご説明する事はないと思いますが、第4楽章で歌われるシラーの「歓喜に寄す」について書かれた本がありますのでそれをご紹介します。
1749年ドイツの詩人ゲーテが生まれ、1759年シラーが生まれます。 そして1770年ベートーヴェン,ヘーゲルが生まれ、1786年にはシラーが「歓喜に寄す」を発表します。 そして「芸術の時代」と呼ばれる時代が続き、1824年にベートヴェンが第9を作りますが、ベートーヴェンはその3年後の1827年に亡くなり、1831年にヘーゲルが、続いて1832年にゲーテが亡くなります。
今では芸術家というお仕事は仕事として当たり前になっていますが、18世紀初頭までは芸術家が自分の内面から出る感情を自由に表現したり、自由業として自立するという事はなされていませんでした。 現在の芸術家の自立が確立されたのは、この「芸術の時代」と呼ばれる時代だと思いますが、ゲーテやベートーヴェンは現代の芸術家の先駆者ではと思います。
余談ですがゲーテの戯曲にベートーヴェンがウイーン宮廷劇場の支配人に頼まれて付曲した劇付随音楽があります(1809~1810)。 今はその序曲しか演奏されませんが、リンクしておきます。
ベートーヴェン 「エグモント」序曲 Op.84~ティーレマン指揮、ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団
https://www.youtube.com/watch?v=Puy7ephHnXI
上の私が所有する第9のCDは、1951年のバイロイト音楽祭でのライヴ録音ですがフルトヴェングラーの名盤と言われているものです。 第二次世界大戦後初めてバイロイト音楽祭が再開された初日の演奏ですが、フルトヴェングラーの不動の名演と言われています。 you tubeにアップされていましたので上にリンクしておきました。
次はベートーヴェンの交響曲第6番「田園」のリストによるピアノ・トランスクリプションをご紹介します。
ベートーヴェン交響曲第6番「田園」(リストによるピアノ・トランスクリプション)
https://www.youtube.com/watch?v=zQEa4quP-dY
ベートヴェン 交響曲第6番 ヘ長調 作品68 「田園」~カール・ベーム指揮、ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団
https://www.youtube.com/watch?v=W4TBpy8oQnw
ベート―ヴェン交響曲第6番スコア
ベートーヴェン交響曲第4&6番(リストによるピアノ・トランスクリプション)
ベートーヴェン交響曲第6番「田園」、「エグモント」序曲~カール・ベーム指揮、ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団
ベートーヴェン交響曲第6番~フルトヴェングラー指揮、ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団
ベートーヴェン交響曲第2&6番~クーベリック指揮、バイエルン放送交響楽団
ベートーヴェンが聴覚の異常を自覚し出したのは1801年(31歳)の頃で、翌1802年には「ハイリゲンシュタットの遺書」と呼ばれる手紙を弟達に書き苦悩を訴えます。 しかしその後それを克服し「傑作の森」と言われる偉大な作品を書き続けます。 交響曲6番「田園」もその一つで1808年、5番の「運命」とともにウイーンで初演されています。 ベートーヴェン自ら指揮をしており、アン・デア・ウイーン劇場での上演でした。 タイトルも各楽章への標題もベートーヴェン自身が付けたものですが、ベートーヴェンは「田園を具体的に描写した音楽ではなく、田園での生活が人々の心に呼び起こす感情を表現したもの」と語っています。
次はベートーヴェンの交響曲第7番のリストによるピアノ・トランスクリプションをご紹介します。
ベートーヴェン交響曲第7番(リストによるピアノ・トランスクリプション)~シプリアン・カツアリス
https://www.youtube.com/watch?v=vl6_aJU0S4M
ベートーヴェン交響曲第7番 イ長調 Op.92~ショルティ指揮、ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団
https://www.youtube.com/watch?v=QzvA5KzFBms
この曲は1811年から1812年にかけて作曲され初演は翌1813年ウイーンでベートーヴェン自身の指揮でされています。 ウイーン会議(1814~1815)の時にも演奏されたベートーヴェンのシンフォ二ーですが、当時は「勝利と自由」を表現した曲と受け取られていたようです。 その後いろいろな解釈があるようですが、第2楽章の美しさは作曲技法とは関係なく誰の心にも訴えかけ、音楽の持つ純粋で不思議な力があり、エキスパートの人にもそうでない人にも衝き動かされるものがあるのではないかと思います。 現代でも大変人気の高い曲で第7番は良くドラマや映画でも使われています。。
https://www.youtube.com/watch?v=oavp7N3CdpE
哀悼の歌が徐々に力強さと脅迫感を増しながら展開されていきます。
ベートーヴェン交響曲第7番& 第8番~スクロヴァチェフスキー指揮、ザールブリュッケン放送交響楽団
<参照>
1720年 ウイーン ピアノフォルテ
1824年 ウイーン ハンマーフリューゲル
明日はモーツァルトのピアノコンチェルトについて書いてみようと思います。