ピアニスト谷真子Official Blog「message」

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ブラームス ピアノ・ソナタ 第1番、第2番、第3番

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モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

ヨハネス・ブラームス(1833~1897)はバッハ、ベートーヴェンと並び三大Bと呼ばれるロマン派を代表する作曲家です。 歌曲、合唱曲、室内楽曲に多くの作品を残していますがピアノ・ソナタも3曲書いています。

<まず初めはソナタ第1番と呼ばれるハ長調 作品1について書いてみます。>

ブラームス楽譜ヘンレ版

ブラームスピアノ・ソナタ1番

この作品は第1番と言われていますが実際には第2番より後の1853年に作曲されたものです。 シューマンの紹介でブライトコプフ・ウント・ヘルテル社より出版しましたが、ソナタ第2番より先に作品1として出版したためそういう事になりました。 同年、ライプツイヒのゲヴァントハウスで行われた公開初演はブラームス自身の演奏で行なわれ、 後に友人のヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒムに献呈されています。 公開初演ではリストやベルリオーズも聴きにきて賞賛したそうで、ブラームスの後の構築的な作風がすでに示されています。

第1楽章の冒頭ではベートーヴェンの「ハンマークラヴィーア」に似た主題が出てきますが、これが全曲を統一する要素となっております。 第2楽章の冒頭には「古いドイツのミンネリートによる」と記されておぴ最初の主題にはその歌詞が書かれています。 ミンネリートとは中世ドイツ語で「愛の歌」という意味です。 2楽章はこの主題の後3つの変奏が続きます。

ミンネリートの日本語訳を書いておきます。 

「静かに月は昇る、青い青いかわいい花、銀色の小さな雲を抜けて動く、青い青いかわいい花、谷間のばら、広間の乙女、おお美しいばらよ!」

ブラームスピアノ・ソナタ第1番2楽章楽譜冒頭

以前、フランツ・シューベルト・ソサエテイについての記事を書きましたが、その時ドイツ文学者の瀧崎安之助さんの「ドイツ・リート詞華選」という本を瀧崎先生のお宅までわざわざ取りに行って送って下さった山地良造さんとおっしゃるドイツ文学ご専門のフランツ・シューベルト・ソサエテイ運営委員の方が、「大作曲家ブラームス」という本を訳していらっしゃいます。 音楽之友社から「大作曲家」シリーズとして出ている本のブラームスの巻ですがご紹介いたします。

山地良造訳「大作曲家ブラームス」~音楽之友社

山地良造訳「大作曲家ブラームス」

フランツ・シューベルトソサエティについての記事

http://masakotani.jp/blog-entry-56.html

リヒテル ブラームス ピアノ・ソナタ1,2番

リヒテル ブラームス ピアノ・ソナタ 第1,2番)

ウゴルスキー ブラームス ピアノ・ソナタ1,2番

ウゴルスキー ブラームス ピアノ・ソナタ 第1,2番)

ブラームス ピアノ・ソナタ ハ長調 作品1~クリスティアン・ツイメルマン

1楽章 Allegro

https://www.youtube.com/watch?v=YDLtjMIT9-0

2楽章 Andante

https://www.youtube.com/watch?v=mCGz-5RJdVQ

3楽章 Scherzo

https://www.youtube.com/watch?v=P4_2Ncgt4Ps

4楽章 Finale

https://www.youtube.com/watch?v=5hSafTOh88I

書法はまだ拙いですが、青年ブラームスの覇気が感じられ、同時に清らかな情感と淡い憂愁もあります。 私は高校生の時このブラームスソナタの1番と2番を勉強しましたが好きな作曲家の一人でした。

ブラームス ピアノ・ソナタ 第2番>

ブラームスピアノ・ソナタ2番

ブラームスの最初のピアノ・ソナタであるピアノ・ソナタ第2番は1852年19歳の時ハンブルクで作曲され、翌1853年ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から作品2として出版され、シューマンの妻クララに献呈されました。 初演されたのは30年後のウイーンです。 第1番同様、第2番も2楽章では古いドイツのミンネ・リートが主題として使われその後3つの変奏が続いています。

まだハンブルクから出た事がない青年ブラームスが作った曲らしく情熱的で感情の変転が激しく、また若者らしい感傷的なところもある作品です。 第1番に比べると少し地味かもしれません。

ブラームス ピアノ・ソナタ第2番、2つの狂詩曲Op.79、ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ 作品24、Intermezzo Op.117-1

(シュヌアー教授 ブラームス ピアノ・ソナタ 第2番他)

ブラームス ピアノ・ソナタ 第2番 嬰ハ短調 作品2~クリスティアン・ツイメルマン

1楽章 Allegro

https://www.youtube.com/watch?v=s8pDqRkwdus

2楽章 Andante con espressione

https://www.youtube.com/watch?v=PWfOGRwfyPQ 

3楽章 Scherzo

https://www.youtube.com/watch?v=RlxLj3qvlnU

4楽章 Finale

https://www.youtube.com/watch?v=g5MgLvYK5-A

ブラームス ピアノ・ソナタ 第3番>

これは1853年20歳の時デュッセルドルフで作曲されたもので作品5と呼ばれています。 これはまだお勉強しておりませんがいつか弾いてみたいと思っている作品です。

ブラームス ピアノ・ソナタ 第3番

2楽章のANDANTEの楽譜の冒頭にはシュテルナウの「若き恋」という詩の一節が記してあります。

ブラームス ピアノ・ソナタ 第3番 2楽章楽譜

また4楽章のINTERMEZZOの楽譜には副題としてやはり同じシュテルナウの詩のタイトルから「Ruckblick(回顧)」という言葉が引用されています。

ブラームス ピアノ・ソナタ 第三番 4楽章楽譜

ブラームス ピアノ・ソナタ 第3番 f-moll 作品5~エフゲ二ー・キーシン

https://www.youtube.com/watch?v=Abby2S5OSXM 

明日は続けてブラームスのチェロ・ソナタ第1番について書いてみようと思います。 これは2014年10月9日阿部裕之先生と上村昇さんが大阪倶楽部で演奏された曲です。