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ショパン 「ロンド 変ホ長調 Op.16」(序奏とロンド)

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モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

今日はショパンの「ロンド 変ホ長調 Op.16」について書きます。 ショパンと言えば「バラード」や「スケルツォ」が有名ですが、ショパン・コンクールの課題曲として使われる「ロンド Op.16」をご紹介致します。

まずは第16回ショパンコンクールセミ・ファイナルの時のJayson Gillhamの演奏にリンク致します。 「ロンド 変ホ長調 Op.16」は華やかな技巧を見せつけるどちらかと言えば外面的な曲ですが、テクニックを審査するにはごまかしのきかない良い曲かもしれません。

この曲は私が中学2年生(13歳)の時、恩師故片岡みどり先生(当時すでに相愛大学名誉教授)に伴われて、元日本ベーゼンドルファー大阪ショールームでProf. Aquiles Delle Vigne(元ロッテルダム音楽院教授)にレッスンをして頂いた曲です。

演奏を聴かれたデッレ=ヴィーネ先生は「How old are you ? You are a very very good pianist. Remarkable talent !」と言って驚かれ素晴らしいレッスンをして下さいました。 

その時のデッレ=ヴィーネ先生の思い出は8月4日のブログに書いておりますので、お読み頂けたらと思います。 私が日本でピアノのお勉強を続けるか、13歳で単身ヨーロッパに行くかの「分岐点」になった出来事でした。

デッレ=ヴィーネ先生の楽譜へのサイン

1995,7,5 デッレ=ヴィーネ先生の楽譜へのサイン

アキーレ・デッレ=ヴィーネ先生と(中2)

さてショパンのRONDOSについて書きます。 複数形になっておりますが、パデレフスキー版には5つのロンドが入っております。

ショパン ロンド パデレフスキー版楽譜

RONDEAUX

まずはショパンが15歳の1825年に作曲したロンド ハ短調 Op.1です。

ロンド Op.1

この曲はショパンが初めて出版を想定して書いた作品です。 当時在籍していたワルシャワ中等学校の校長先生の妻のルトヴィカ夫人へ献呈された曲です。

次はショパンが16歳の1826年に作曲した「マズルカ風ロンド ヘ長調 Op.5」です。

マズルカ風ロンド OP.5

この年ショパンワルシャワ音楽院に入学しますが、Op.1に比べるとわずか1年の時の経過で作曲技法に目を見張るばかりの成長が見られます。

次はショパンが18歳の1828年に作曲した「ロンド ハ長調 Op.73」です。 これは独奏用2台ピアノ用と2つ作曲しております。 生前はどちらも出版されず遺作Op.73として1855年に2台ピアノの楽譜が出版され、1954年にパデレフスキー版からピアノ独奏版が出版されました。

2台ピアノ用楽譜

ロンド Op.73 2台ピアノ

独奏用楽譜

ロンド Op.73 独奏用

ショパン自筆譜

ロンド Op.73 独奏 自筆譜

最後がショパン「ロンド 変ホ長調 Op.16」です。 これは1832年パリで作曲された曲です。 内面的な内容よりも、外面的な演奏効果をねらった華やかなどちらかというと技巧を誇示する曲です。

ロンド Op.16

ロンド Op.16

冒頭で第16回ショパンコンクールセミ・ファイナルの演奏にリンク致しましたが、次はホロビッツの演奏にリンク致します。

ショパン 「ロンド 変ホ短調 Op.16 (序奏とロンド)」~ホロビッツ(ピアノ)

この曲は1834年パリで出版されましたが弟子のカロリーヌ・ハルトマンに献呈されています。 カロリーヌはこの年26歳の若さで亡くなっておりますので、余命のない弟子に捧げられたか亡くなった弟子の才能を惜しんで献呈されたかのどちらかだろうと言われています。

次は1828年に作曲された「演奏会用大ロンド クラコヴィアク ヘ長調 Op.14」という曲があります。 これはピアノと管弦楽のための作品で初演は1829年 ショパンのピアノ独奏でウイーンで行われました。 

クラコヴィアクというのはポーランドの古都クラクフの伝統的な民族舞踊で2拍子の曲です。 

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クラコヴィアク(フォークダンスの映像

→ショパン ロンド・クラコヴィアク ヘ長調 Op.14」~アラウ(ピアノ)、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(1)

→ショパン ロンド・クラコヴィアク ヘ長調 Op.14」~アラウ(ピアノ)、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(2)

Prof. Aquiles Delle Vigne公式サイト~デッレ=ヴィーネ先生はアラウの弟子でいらっしゃいます。

小さい時のデッレ=ヴィーネ先生や元ワルシャワ音楽院のゲルジョード先生のレッスンのお声がカセットテープですがきれいに残っております。 門下の方でもし再生可能なようでしたらカセットテープお貸しいたします。 お勉強になるかと思います。 受付まで申し出て下さい。

明日はショパンの「華麗なる変奏曲」について書きます。 この曲は中1の全日本学生音楽コンクール大阪大会の受賞者演奏会で弾いた曲ですが、1ケ月強で仕上げさせられた曲です。

故片岡みどり先生のご方針で、「学音の入賞者は受賞者演奏会では新曲を完成度高く披露できる実力があるべき」というお考えでしたので、全日本学生音楽コンクール大阪大会本選の終わった後1ケ月強で仕上げて舞台に立った曲です。