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ベルリオーズ 幻想交響曲 作品14

MESSAGE

モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

エクトル・ベルリオーズ(1803~1869)はフランスの初期ロマン派を代表する作曲家ですが。天才的な創造力を駆使して当時としては画期的な作品を次々と生み出し、リストの交響詩ワーグナーの楽劇の出現を生み出す原動力となった作曲家です。

ベルリオーズは1826年パリ音楽院に入学しますが、その翌年パリを訪れたイギリスの劇団の上演する「ハムレット」を見て、オフィ―リアに扮したハリエット・スミスソンに熱烈な恋心を抱きます。 片思いの念が高じて強引にアプローチしますが、スミスソンはあまりに強引なベルリオーズに恐怖心すら抱くようになり、彼を拒絶するようになってしまいました。

絶望に打ちひしがれたベルリオーズはスミスソンに憎しみすら抱くようになります。 その復讐を音楽の中で果たそうとし、「幻想交響曲」を1830年に作曲致します。 同年パリ音楽院で初演されますが、出版は1845年でその後1855年まで幾度と改訂されております。

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その後ベルリオーズ1832年にスミスソンと再会し、1833年に結婚を致しております。

幻想交響曲」は各楽章に標題が付く標題音楽ですが第1楽章の標題は「夢と情熱」です。 作品の展開を予告するような不安と憧れに充ちた序奏から入りドラマティックな展開へと移行してまいります。 ベルリオーズが「固定観念」と呼ぶメロディが呈示されこれは全曲の中で効果的に再現されております。

この「idee fixe」(固定楽想・固定観念)という発想は、作曲の形式上の主題ではなく、同じテーマの時に同じメロディを使うという現代では通常の事となっているテクニックの事ですが、その当時は画期的な斬新な発想だったようです。 

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第2楽章の標題は「舞踏会」です。 恋人との出会いの場面です。

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第3楽章の標題は「田園の風景」です。 恋人を思う不安と動揺がうまく表現されております。

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第4楽章の標題は「断頭台への行進」です。 恋人を殺して死刑の宣告を受け断頭台に引かれて行き死刑が執行される場面の描写です。

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第5楽章の標題は「サバトの夜の夢」です。 死んだベルリオーズが自分の埋葬に列席している場面です。 グレゴリオ聖歌の「怒りの日」の旋律が出てまいります。

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ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団 サー・コリン・ディヴィス指揮

幻想交響曲作品14♫~ヤンソンス指揮、ベルリンフィル・ハーモニ

明日はベートーヴェンの"「プロメテウスの創造物」の主題による15の変奏曲とフーガ"について書きます。 ベートーヴェンらしい作品です。