グリーグ ホルベアの時代から(ホルベルク組曲) 作品40
1885年グリーグ(1843~1907)が作曲した弦楽合奏曲ですが、原曲は1884年ピアノ独奏曲として作曲された作品です。 ドイツ語の省略された題名から「ホルベルク組曲」とも呼ばれますが、弦楽合奏曲の方が有名になり現在ではそちらの方がよく演奏されます。
♫グリーグ ホルベアの時代から♫~マリア・グリンベルク(ピアノ独奏)
ホルベアというのはグリーグと同郷のベルゲン生まれの18世紀の劇作家(1684~1754)で当時のノルウエーはデンマークと同じ王が統治する連合国であったことから、ホルベアは主にコペンハーゲンで活躍し、大学教授として、また数多くの喜劇の創作と上演によってならぶもののない名声を築いたルズヴィ・ホルベア男爵の事です。
晩年にはその全財産を祖国の文芸復興のために提供するなど、「デンマーク文学の父」とも「北欧のモリエール」ともいわれてノルウエーでも多大な尊敬をあつめた文学者です。
1884年にそのホルベアの生誕200周年を記念する行事がベルゲン市で行われることになり、依頼をうけてグリーグが作曲したのがピアノ独奏曲の「ホルベアの時代から 作品40」で、グリーグによって初演されました。
ホルベアが生きた時代の趣味を反映するように優雅で軽快なバロック風の組曲で、現在では翌年グリーグ自身によって編曲された弦楽合奏版の方がもっぱら愛好されております。
副題に「古い様式による組曲」とあるようにホルベアが生まれた時代のバロック音楽の様式を借りて書かれており、グリーグはホルベアの同時代人のフランスのクラブサン奏者達の組曲をモデルにしたとコメントしております。
第1曲 前奏曲
バロックの組曲のスタイルに倣って前奏曲がおかれていますが、ピアノ版はトッカータや無窮動のように疾走しますが、弦楽版はリズミカルな印象を与える編曲が行われております。
第2曲 サラバンド
アンダンテの優雅な舞曲です。 いかにも北欧風の美しい情緒で弦楽版では中間部にチェロのソロが入ります。
第3曲 ガヴォットとミュゼット
フランスの2つの舞曲が組み合わされて作られております。
第4曲 アリア
この組曲の中で唯一の短調による楽章でバロック時代の先人達に倣ってはいるものの暗い曲調にはグリーグの個性が強く発揮されております。
第5曲 リゴードン
南フランスのプロヴァンス地方に起源を持つ宮廷舞曲リゴードンによる軽快な終曲です。
♫グリーグ ホルベアの時代から♫~カラヤン指揮、ベルリンフィルハーモニー
♫グリーグ ホルベアの時代から♫~マルケヴィッチ指揮、フランス国立管弦楽団