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ベートーヴェン=リスト 交響曲第9番 4楽章 歓喜の歌(二台ピアノ)

来年の4月29日に秋篠音楽堂で東京音大校友会関西支部の演奏会が開催されますが、私もベートーヴェン=リスト 第9 「歓喜の歌」よりをピアノ連弾(ペータース版)で演奏致します。

以前も書きましたが、今日はもう一度ベートーヴェン=リスト 交響曲第9番 「歓喜の歌」 (二台ピアノ)について書いてみようと思います。

フランツ・リスト(1811~1886)はドイツ・ロマン派のピアニスト・作曲家で、「ピアノの魔術師」とも言われていますが、1822年ウイーン音楽院でツエル二ーに師事し、翌1823年には老ベートーヴェンにコンサートで会いそのピアニストとしての才能を誉められています。  またリストの先生のツエル二ー(1791~1857)はオーストリアのピアノ教師、ピアニスト、作曲家ですが、10歳でベートーヴェンの弟子となり, 1812年にはベートーヴェンのピアノ協奏曲「皇帝」のウイーンでの初演のソリストを務めています。  またツエル二ーの先生のベートーヴェン(1770~1827)はウイーン古典派の作曲家ですがハイドンに認められたハイドンの弟子でした。

このような系譜からリストはベートーヴェンを大変尊敬しており、ベートーヴェン交響曲9曲全てをピアノ・ソロ用に編曲しております。 またベートーヴェン交響曲9番とピアノ協奏曲の3,4,5番は二台ピアノ用にも編曲しております。

リストの時代は現在のようにCDやメディアでベートーヴェンのシンフォ二ーを楽しむという事はできませんから、それをひとりでも多くの人に知ってもらうために、ピアノでも弾けるように作曲したのではないかと思います。

さて「歓喜の歌」はベートーヴェン交響曲第9番の第4楽章で歌われ演奏される第1主題の事です。 「喜びの歌」とも言われます。

シラーの最初の詩「自由賛歌」(1785年)はフランス革命の直後ラ・マルセイエーズのメロディでドイツの学生に歌われておりましたが、その詩をシラーが書きなおして(1785年初稿、1803年一部改稿)「歓喜に寄せて」と致しました。 ベートーヴェンはそのシラーの「歓喜に寄せて」の詩を1822年~1824年に歌詞として引用し書き直して付曲致しました。

ベートーヴェンは1792年にこの詩の初稿に感動し曲を付けようとしますが、第9交響曲として完成した時には1803年の改稿版の詩を用いております。

An die Freude

O Freunde, nicht diese Töne!

Sondern laßt uns angenehmere

anstimmen und freudenvollere.

ベートーヴェン作詞)

Freude, schöner Götterfunken,

Tochter aus Elisium

Wir betreten feuertrunken.

Himmlische, dein Heiligtum!

Deine Zauber binden wieder,

(1803年改稿)

Was die Mode streng geteilt;

Alle Menschen werden Brüder,

(1785年初稿:

Was der Mode Schwert geteilt;

Bettler werden Fürstenbrüder,)

Wo dein sanfter Flügel weilt.

Wem der große Wurf gelungen,

Eines Freundes Freund zu sein,

Wer ein holdes Weib errungen,

Mische seinen Jubel ein!

Ja, wer auch nur eine Seele

Sein nennt auf dem Erdenrund!

Und wer's nie gekonnt, der stehle

Weinend sich aus diesem Bund!

Freude trinken alle Wesen

An den Brüsten der Natur;

Alle Guten, alle Bösen

Folgen ihrer Rosenspur.

Küsse gab sie uns und Reben,

Einen Freund, geprüft im Tod;

Wollust ward dem Wurm gegeben,

und der Cherub steht vor Gott.

Froh, wie seine Sonnen fliegen

Durch des Himmels prächt'gen Plan,

Laufet, Brüder, eure Bahn,

Freudig, wie ein Held zum Siegen.

Seid umschlungen, Millionen!

Diesen Kuß der ganzen Welt!

Brüder, über'm Sternenzelt

Muß ein lieber Vater wohnen.

Ihr stürzt nieder, Millionen?

Ahnest du den Schöpfer, Welt?

Such' ihn über'm Sternenzelt!

Über Sternen muß er wohnen.

歓喜に寄せて」

おお友よ、このような旋律ではない!

もっと心地よいものを歌おうではないか

もっと喜びに満ち溢れるものを

ベートーヴェン作詞)

歓喜よ、神々の麗しき霊感よ

天上楽園の乙女よ

我々は火のように酔いしれて

崇高な汝(歓喜)の聖所に入る

汝が魔力は再び結び合わせる

(1803年改稿)

時流が強く切り離したものを

すべての人々は兄弟となる

(1785年初稿:

時流の刀が切り離したものを

物乞いらは君主らの兄弟となる)

汝の柔らかな翼が留まる所で

ひとりの友の友となるという

大きな成功を勝ち取った者

心優しき妻を得た者は

彼の歓声に声を合わせよ

そうだ、地上にただ一人だけでも

心を分かち合う魂があると言える者も歓呼せよ

そしてそれがどうしてもできなかった者は

この輪から泣く泣く立ち去るがよい

すべての存在は

自然の乳房から歓喜を飲み

すべての善人もすべての悪人も

薔薇の路をたどる

自然は口づけと葡萄酒と 

死の試練を受けた友を与えてくれた

快楽は虫けらのような者にも与えられ

智天使ケルビムは神の前に立つ

神の壮麗な計画により

太陽が喜ばしく天空を駆け巡るように

兄弟よ、自らの道を進め

英雄のように喜ばしく勝利を目指せ

抱き合おう、諸人(もろびと)よ!

この口づけを全世界に!

兄弟よ、この星空の上に

愛する父がおられるのだ

ひざまずくか、諸人よ?

創造主を感じるか、世界よ

星空の上に神を求めよ

星の彼方に必ず神は住みたもう

ベートーヴェン=リスト 第9交響曲 第4楽章「歓喜の歌」より♫~二台ピアノ

ベートーヴェン 第9交響曲♫~ムーティ指揮、シカゴ交響楽団

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