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ラフマニノフ 2台のピアノのための組曲 第1番 「幻想的絵画」 作品5/Rakhmaninov Suite No.1 "Fantasie-tableaux" Op.5

「二台のピアノのための組曲第1番」はラフマニノフ(1873~1943)のピアノデュオ曲ですが、ラフマニノフが20歳の時の1893年に作曲されました。

ラフマニノフは1891年18歳でモスクワ音楽院ピアノ科を首席で卒業し、翌1892年には同院作曲家を首席で卒業します。 1892年10月にはモスクワ電気博覧会で後ラフマニノフの代表作となる「前奏曲嬰ハ短調”鐘”」を初演致します。

「二台のピアノのための組曲第1番」の初演は1893年11月30日にモスクワでラフマニノフとパプストのピアノで行われ、才能を認め目をかけてくれていたチャイコフスキーへの感謝の思いから彼に献呈されましたが、初演を聴くことを約束していたにも拘わらずチャイコフスキーは11月6日初演を聴く前に亡くなってしまいました。

各楽章冒頭にラフマニノフが作曲のインスピレーションを受けた詩が載せられており、インスピレーションを基に絵画的に作曲された作品です。

第1楽章 バルカローレ

ロシアの詩人レールモントフの詩「ベネチア」の一節が引用されております。

ミハイル・レールモントフ

おお、涼しいゆうべの波が、

ゴンドラのオールを静かに打つ。

―あの歌がまた! またギターで鳴る!

―遠くでいまは、憂鬱そしてまた幸せに、

聞こえるのは古い舟歌の響きか、

「ゴンドラは水面を滑り、

時も愛とともに飛び去る、

水はふたたび穏やかになり、

情熱はもはや高まらない」

第2楽章 夜と愛と

イギリスの詩人バイロンの詩が記されています。

ジョージ・ゴードン・バイロン

ナイチンゲールの高いさえずりが

枝から聞こえる時刻に、

恋人同士の誓いあう囁きが、

穏やかな風や近くの水音が、

孤独な者の耳に音楽となる。

第3楽章 涙

ロシアの詩人チュッチェフの同名の詩が引用されています。

(フョードル・チュッチェフ)

人の懸念、おお、人の涙!

お前は朝から晩まで流れ、

人知れずに、目に見えずに、

無限に、無数に流れる、

まるで土砂降りの雨のように、

秋の夜の深遠の中に流れる。

第4楽章 復活祭

ロシアの詩人ホミャコフの同名の詩が引用されています。

(アレクセイ・ホミャコーフ)

強大な鐘の音が大地を越えて鳴り、

大気のすべては嘆き、おののき、苦しむ。

美音の銀色の雷鳴は、

聖なる勝利の知らせを告げる。

ラフマニノフ 2台のピアノのための組曲 第1番♫~ラベック姉妹

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