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リスト スペイン狂詩曲S.254(スペインのフォリアとホタ・アラゴネーサ)

MESSAGE

モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

ハンガリー生まれのフランツ・リスト(1811~1886)ですが、音楽的には国民楽派ではなくドイツロマン派のピアニスト・作曲家として位置付けられております。 圧倒的なピアノテクニックを持っていたリストは、超絶技巧を要求されるピアノ独奏曲をたくさん作っておりますが、この「スペイン狂詩曲」もその中の一曲です。

1844年にイベリア半島を旅したリストはその印象と資料から2つの作品を作っています。

一つは1845年に作られた「スペインの歌による演奏会用大幻想曲」S,253です。

♬「スペインの歌による演奏会用大幻想曲ミハイル・プレトニョフ(途中から)」♬

二つ目が1858年に作られた「スペイン狂詩曲」S.254です。 これはS,253の改作とも言われています。 スペインの古い舞曲『フォリア」とアラゴン地方の民謡・舞曲「ホタ・アラゴネーサ」を素材にした超絶技巧の難曲の演奏効果の高い作品です。 まず先にリストの孫弟子にあたるホルヘ・ボレットの演奏にリンク致します。

♬「スペイン狂詩曲」~ホルヘ・ボレット

リスト スペイン狂詩曲 ペータース版

まず嬰ハ短調の序奏から始まります。 

リスト スペイン狂詩曲 冒頭

そして同じ嬰ハ短調で3拍子の舞曲「フォリア」に移ります。

フォリア

「フォリア」は15世紀末のイベリア半島起源の3拍子の穏やかな舞曲です。 17世紀のイタリアで大流行しバロック期のヨーロッパの作曲家達が変奏曲のテーマとしてよく用いました。 有名なものにコレッリの「ラ フォリア」があります。

♬「フォリア」~舞踊映像

間奏をはさんで、次は二長調の快活な「ホタ・アラゴネーサ」に移ります。 

ホタ・アラゴネーサ

「ホタ・アラゴネーサ」はスペインのアラゴン地方の軽快な民謡・舞曲です。

♬「ホタ・アラゴネーサ」~民族舞踊映像

終わり近くでフォリアの主題が長調で再現され堂々と曲は終わります。

フォリア(長調)

「フォリア」と「ホタ・アラゴネーサ」についての私の楽譜のメモ

フォリアとホタ・アラゴネーサ

この曲は大学生の時に勉強した曲ですが、その時神戸でヴィクトル・リャードフのレッスンを受けた事があります。 リャードフは浜松国際コンクールで優勝したピアニストで故タチアナ・ニコラーエワの弟子ですが、まだお若いので華やかな「スペイン狂詩曲」を披露して下さいました。

リャードフレッスン案内

1874年にブゾーニ管弦楽版に編曲しています。

リスト/ブゾーニ スペイン狂詩曲~エゴン・ペトリ、ミネアポリスシンフォ二ー

リスト「スペイン狂詩曲」~キーシン

リスト スペイン狂詩曲♫~キーシン

リスト「スペイン狂詩曲」~ペライア

リスト スペイン狂詩曲♫~ぺライア

リスト「スペイン「狂詩曲」~ロベルト・シドン

(スペイン狂詩曲~シドン)

明日はバッハ=ブゾーニ 「シャコンヌ」について書きます。

<追記>

先日ご紹介致しましたクラウス・シルデ先生の「正しいピアノ奏法を図解にして説明された貴重なアドヴァイス」がありますのでそれをご紹介致します。

シルデ先生レッスン1

シルデ先生レッスン2

練習時間が多くなるとどうしても体が前屈になったり、固まったりしてまいります。 私は椅子の横に姿見を置いて時々自分の姿勢をチェックします。 でないと弾く事に夢中になって前屈になり、音が固くなるからです。 シルデ先生に腰を中心にして円を描くような動きをすると良い音が出るとアドヴァイスを頂きましたので、今でもそれを思い出して気を付けています。