ピアニスト谷真子Official Blog「message」

ピアニスト谷真子公式サイトよりブログ「message」

バッハ=ブゾーニ 「シャコンヌ」

MESSAGE

モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

ピアノを勉強する人にとっては「シャコンヌ」と言えばブゾーニ編曲の「シャコンヌ」を指している場合が多いのですが、これはもともとはバッハ作曲のヴァイオリンのための名曲です。 心を打たれる名曲ですので、ブゾーニ以外にもブラームスも左手だけのピアノ用の練習曲として編曲をしております。

バッハ 「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番二短調 シャコンヌ」♫~アイザック・スターン

1720年バッハは「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ BWV1001~1006」という3つのソナタと3つのパルティータからなる曲集を作曲しております。 その中のBWV1004は「パルティータ第2番」と呼ばれ5曲の舞曲で成立しています。 パルティータ第2番の終曲の第5曲が「chaconne」です。

シャコンヌ(chaconne)はフランス語で、3拍子の変奏形式による舞曲の一種です。 起源は16世紀末のスペインでスペイン舞踊ではchacona(チャコーナ)と呼ばれます。 スペインの大陸進出で新大陸へと広まり、そこからイタリア、フランス、ドイツと逆輸入され広まっていきます。 もともとは多くは歌を伴う快活な長調の舞曲だったようですが、17世紀半ばフランスに入ると短調の曲も見られるようになり、落ち着いた曲に変わっていったようです。 ドイツのバッハの「シャコンヌ」はシャコンヌの歴史の集大成の曲ではないかと思います。

さてバッハの「シャコンヌ」ですが、ヴァイオリンのお勉強をされる方にはこの無伴奏の3曲のソナタと3曲のパルティータは必修の曲のようですが、4本の弦でバッハの「シャコンヌ」の世界を表現するのはヴァイオリンの高度な技術を必要とします。 

ブラームスが右手を故障したクララのために編曲したと言われる「左手のためのシャコンヌ」は、クララのためというよりもバッハに敬意を表して和声楽器のピアノの右手を使わず作曲したのではないかという意見もあるようです。

バッハ シャコンヌ(ブラームス編曲)♫~クリスティアン・ツイメルマン

それに反してブゾーニは原曲にない音も追加しておりますし、バッハ=ブゾーニ 「シャコンヌ」にはいろいろな見解があるようですが、シャコンヌのメロディが親しまれてきたのはブゾーニの編曲が大きな役割をになってきたのではないかと思います。

フェルッチョ・ブゾー二(1866~1924)はイタリア生まれですが、ほとんどをドイツで過ごしております。 オルガンの響きのような壮大な世界はピアノで表現しても難しく、技巧的には中学生でも弾けるのですが、精神の表現はとてつもなく深く難しいものがあります。

バッハ=ブゾーニ シャコンヌ 二短調♫~エフゲニー・キーシン(楽譜付き)

バッハ シャコンヌ ブライトコプフ版

バッハ シャコンヌ 楽譜

名曲ですので、是非トライしてみて下さい。

明日は、本日行われるイヴ・アンリ氏のレクチャー・リサイタルについて書きます。