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バッハ フランス組曲とイギリス組曲

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モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

バッハの全クラヴィーア作品の中でそれぞれ6つの組曲からなる「フランス組曲」、「イギリス組曲」、「パルティータ」という3つの組曲集はバッハ作品の中でも傑作の一つと言えるのではないかと思います。

バッハはこれらの作品を通して古典組曲の様式を頂点にまで持っていきましたが、同時にクラヴィーア書法の全てを展開しており、それらが現代でも「バッハは鍵盤楽器の基礎である」と音楽のお勉強には必修の作曲家と言われる所以です。

古典組曲というのは、(原則として)調性は同じだが性格が違ういくつかの音楽を一定の法則に従って並べた多楽章の器楽曲の事で、バロック時代の代表的な楽曲形式の一つです。

アルマンドクーラントサラバンドジーグという主要な4つの舞曲がその順番で配列されているのが古典組曲の特徴ですが、バッハの場合は冒頭にプレリュード、序曲などを置いたり、サラバンドジーグの間にメヌエットやガヴォット他、またエールなどを挿入しているのが普通です。

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アルマンド

16世紀ごろから主にフランスで流行した緩やかなテンポの2拍子系の舞曲。 しかし組曲に使われる舞曲は18世紀には踊りの伴奏という実用的な性格は失われ、器楽曲として半ば様式化されておりました。 バッハの場合はアルマンドはほとんどが4拍子です。

バロックダンス アルマンド♫ 

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クーラント

16世紀後半に起こったテンポの速い3拍子系の舞曲。 急速な3拍子のイタリア風クーラントのコレンテと比較的速い3/2もしくは6/4拍子のフランス風クーラントがあります。

バロックダンス クーラント

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サラバンド

16世紀にスペインで流行し、のちにフランスやイギリスに広まった3拍子の舞曲。 ゆったりとした運びと荘重な気分が特徴です。

バロックダンス サラバンド

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ジーグ>

16世紀にイギリスで流行し発展した3拍子系の活発な舞曲。 

バロックダンス ジーグ

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バロックダンス メヌエット

バロックダンス ガヴォット

ほとんど同時期に作曲されたフランス組曲とイギリス組曲(どちらも第三者命名したもの)ですが、イギリス組曲は6曲すべてに規模の大きなプレリュードを冒頭においており全体に長大で力強い曲想を持っておりますが、フランス組曲の6曲は全ていきなりアルマンドから始まり全体に比較的小ぶりで優雅で繊細な雰囲気なのが特徴です。

バッハ フランス組曲全曲♫~アンドラ―シュ・シフ

バッハ イギリス組曲全曲♫~アンドラ―シュ・シフ

バッハ フランス組曲第5番♫~ルドルフ・ゼルキン

バッハ フランス組曲第5番♫~チェンバロ

バッハ イギリス組曲第3番♫~リヒテル

バッハ イギリス組曲第3♫~チェンバロ

私はフランス組曲は小学生の時に、イギリス組曲は中学生の時にお勉強したしましたが、楽譜はヘンレ版を使っておりました。

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フランス組曲 ヘンレ版

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イギリス組曲 ヘンレ版

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バッハ フランス組曲全集CD~イングリッド・ヘブラ~

(↑私が小さい時一日家の中でかかっていたCDの一枚です。)

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バッハ フランス組曲全集~グレン・グールド

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バッハ イギリス組曲全集~イエルク・デームス

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バッハ イギリス組曲第3番~エヴァ・ポブウォッカ

明日はバッハの「パルティータ」について書きます。