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ドビュッシー 12のエチュード

ドビュッシー(1862~1918)の「12のエチュード」はクロード・ドビュッシーの最晩年の作品ですが、1915年に作曲され1916年12月にパリで初演されております。 「a la memoire de Chopin」としてショパンに捧げられております。

1914年第1次世界大戦の勃発と共に出版界もまた大きな打撃を受け、新しい楽曲の出版は不可能になってまいりました。 ドビュッシーの主要作品を一手に出版していたデュラン社は古典音楽の再版を企画し、その校訂をフランスの作曲家達に依頼いたします。 そこでドビュッシーショパンピアノ曲の校訂を引き受けます。 1915年1月から校訂の仕事に取り掛かりますが、7月になり病身のドビュッシーは転地のためイギリス海峡に面した港町に住みそこで仕事に打ち込みます。 ショパンの校訂に取り組みながらドビュッシーは「チェロ・ソナタ」と「12のエチュード」を9月末には完成させ、10月にはパリへ戻ります。

ショパンエチュードと同様にドビュッシーエチュードは冷たい技巧を要求するものではなく音楽であり人に喜びを与える芸術となっております。

彼のピアノ音楽の全ての集大成であり、ドビュッシーの世界に入るための鍵となる作品です。 精神的でありながら技巧的にも、リズムや音の追及、和声的な感覚、調性など極限にまで到達しており、この意味において20世紀音楽における先駆者となりました。

出版譜は2部に分かれており6曲ずつの構成となっております。 また初版の序文には「指使いは自分で探す事」と書いてあり、エチュードとしていながら楽譜には運指は一切書かれておりません。

1.5指のための

慎重に単純な音型から始まり複雑な技法へと展開していきます。 ピアノのメカニックな面をからかったウイットも感じられます。

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2.3度のための

3度音程を精妙この上ない書法でいろいろに編み上げていきます

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3.4度のための

ドビュッシーの和音の基盤である4度の音程から自由に香り豊かな音楽を引き出しております。

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4.6度のための

ドビュッシーの6度進行の音楽はこれまでにない協和音に甘んじながら進んでまいります。

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5.オクターヴのための

オクターヴを使って演奏の難しいきらびやかなパッセージを描写しております。

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6.8つの指のための

両方の親指を除いた8本の指で突進するようなエチュードを作っております。

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7.半音階のための

12の半音階のきらめく断面が魅力的にきらきら光り輝いております。

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8.装飾音のための

古典的な書法の装飾音ではなくドビュッシーが創案した装飾音です。 前打音でありながら彩飾され旋律的です。

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9.反復音のための

近代のピアノから創造した反復音の技巧です。

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10.対立するソノリティのための

ピアノ演奏におけるオーケストラ的とはどういう事かを追求した美しく精妙なエチュードです。

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11.重複するアルぺージョのための

ドビュッシーが愛用した様々なアルぺージョが織りなされております。

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12.和音のための

和音をつなげるとはを探ったエチュードです。

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12のエチュード♫~ギーゼキング

12のエチュード♫~ミッシェル・べロフ

12のエチュード♫~内田光子

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ギーゼキング

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フランソワ

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安川加寿子

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内田光子

ちなみにyou tubeドビュッシーの「チェロ・ソナタ」と「12のエチュードより第11曲重複するアルぺージョのための」の演奏を私もアップいたしておりますので、そちらにもリンクいたします。

ドビュッシー チェロ・ソナタ 第1楽章♫~谷真子

ドビュッシー チェロ・ソナタ 第2・3楽章♫~谷真子

ドビュッシー 12のエチュード 重複するアルぺージョのための♫~谷真子

明日はショパンの24のプレリュードについて書きます。

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