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ショパン 24のプレリュード Op.28

ショパン(1810~1849)とジョルジュ・サンドとの結核療養を兼ねての二人の最初の逃避行は1838年秋からのスペイン・マジョルカ島旅行でした。 この旅の中、1839年1月マジョルカ島で完成したのが「24のプレリュード Op.28」でした。

このプレリュードというのは、何かの前奏曲という意味ではなく、バッハの平均律のプレリュードと同じ意味で、バッハへのオマージュと考えられます。 

バッハのプレリュードは自由な転調やドラマティックな展開など革命的な内容で、また24の調を全て使用するというのもその時代では画期的な事でした。 ショパンが24曲を全て異なる調性で書きプレリュードと名付けたのはバッハへの敬意と自分もそういう革新的な内容にチャレンジしたいというショパンの意図があったと思えます。

ショパンは生徒の1人に「バッハのプレリュードとフーガを毎日弾きなさい。 それが一番の授業です。 これ以上のものを弾ける人はいないであろう。 バッハを練習しなければ、指は自由に動かない。 澄んだ美しい音も出せない。 彼の作品は完璧である。 他の形は考えられない。 ほんの少しでも変えたら、すべてが台無しになってしまうであろう。」と書き送っており、バッハのひそかな崇拝者となっていたのでした。

さて秋のマジョルカは雨期にあたり、ショパンの病状は逆に悪化してしまいました。 有名な第15番「雨だれ」など悪天候ショパンの置かれている環境を反映したような暗く、はかない作品が「24のプレリュード」には多く含まれております。

ショパン プレリュードOp.28-15 「雨だれ」

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「24のプレリュード」は5度循環を基本としており、近親する全ての長調短調を、シャープの数を1つずつ増やしながら、そして次にはフラットを1つずつ減らしながら使用しております。

小品が多いですが、第8番、第12番、第16番、第3番、第19番、そして第24番などは技術的にかなり難しくなっております。 演奏会では単独で演奏される事も多いですが、最近では全曲を1つの曲として考え演奏されることが多くなってきております。 いずれにしてもどの曲も芸術的に素晴らしい作品ばかりで天才ショパンを見ることができます。

ショパン 24のプレリュード No.1♫~キーシン

ショパン 24のプレリュード No.2♫~キーシン

ショパン 24のプレリュード No.3♫~キーシン

ショパン 24のプレリュード No.4♫~キーシン

24のプレリュード♫~ポリーニ

24のプレリュード♫~アルゲリッチ

24のプレリュード♫~ユリアンナ・アヴデーエワ

24のプレリュード♫~ダニール・トリフォノフ

24のプレリュード♫~アシュケナージ

24のプレリュード♫~コルトー

24のプレリュード♫~アラウ

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キーシン

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アレクサンダー・コブリン

明日はラフマニノフのプレリュードについて書きます。

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