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リスト メフィストワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」 S.514/LISZT Mephisto Waltz No.1,S.514 「The Dance in the Village inn」

リストはゲーテの「ファウスト」に基ずく「ファウスト交響曲」(1857年初演)を完成した後、今度は同郷の詩人ニコラウス・レーナウ(1802~1850)による長大な詩「ファウスト」にインスパイアされて管弦楽曲「レーナウの”ファウスト”による2つのエピソード”夜の行列”と”村の居酒屋での踊り”」(1861年完成)を作曲いたします。 と同時にリストは管弦楽版第2曲の「村の居酒屋での踊り」にピアノ編曲版のピアノ連弾曲とピアノ独奏曲を作ります。

レーナウの「ファウスト」による2つのエピソードより「村の居酒屋での踊り」S.110/2♫~管弦楽

ピアノ独奏曲が「メフィスト・ワルツ第1番」として大変有名になり、管弦楽版第2曲も「メフィスト・ワルツ第1番」と呼ばれるようになり、どちらも頻繁に演奏されております。

ところでメフィスト・ワルツという題が付けられた作品は4曲存在し(1曲は未完)、第1番は1856~1861年頃に、残りの3曲は晩年の1878~1885年にかけて作曲されております。

メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」S.514>

フランツ・リスト(1816~1886)の数あるピアノ曲中でもヴィルトゥオーソ・ピースとして最もよく演奏されるもののひとつです。

かねてから「ファウスト伝説」に強く惹かれていたリストが同郷のドイツ・ロマン派の詩人レ―ナウによる長大な劇詩「ファウスト」にインスパイアされて作曲したピアノ曲が「村の居酒屋での踊り」すなわちメフィスト・ワルツ第1番です。 劇詩の一場面の村の居酒屋にファウストメフィストが連れ立って現れた時の情景を描写しております。 メフィストがお手のもののヴァイオリンでワルツを奏で人々は浮かれ踊ります。 その間、ファウストは恋人マルガレーテを見出して一緒に踊り、やがて二人して、そっと居酒屋から抜け出します。 曲はおおむね快速のワルツ調で通されております。  

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ファウスト伝説

ファウストとは16世紀のドイツの錬金術師。 ファウスト博士とも言われる。 ゲーテの戯曲「ファウスト」のモデルである。 ハイデルベルク大学で神学の博士号を授与されたが錬金術を実験中に爆死し死後魔術に通じていたなどという伝説が出来上がり、特に悪魔メフィストフェレスと契約した人物として広く知られるようになる。 1857年民衆本「実伝ファウスト博士」が書かれ有名になる。 ファウストはドイツの伝説における主要な登場人物でファウスト伝説は多くの文学、美術、音楽作品の題材とされてきたが、「ファウスト」という語句は、野心的な人物が力を得て一定期間の成功のために倫理的な無欠さを手放すという状況を暗示するのにも使われる。

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導入部は速いレントラーで最初の単音が五度となり、村の楽士たちの調弦を表すヴァイオリンの開放弦のD、A、Eが響きます。 マルカートの主題は、ファウストと連れ立って入ってきたメフィストフェレスが楽士からヴァイオリンを取り上げて弾き始める情景です。 続く楽想は黒い眼の女性へのファウストの恋心を表しております。 テンポが速くなり人々の踊りは熱狂を高めてまいります。 踊ったまま人々は庭を横切り森の中に姿を消します。 美しいナイチンゲールの鳴き声が森にこだまし、星空に消えていきます。 宴の後の快いけだるさが残ります。

リスト メフィストワルツ第1番♫~ルービンシュタイン

リスト メフィストワルツ第1番♫~アシュケナージ

リスト メフィストワルツ第1番♫~キーシン

リスト メフィストワルツ第1番♫~トリフォノフ

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