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リスト バッハの名による幻想曲とフーガ/Liszt Fantasia and Fugue on the Theme B-A-C-H

「バッハの名による幻想曲とフーガ」はフランツ・リスト(1811~1886)の作曲したオルガン曲、あるいはピアノ曲です。 1848年、37歳でワイマールに落ち着いたリストは演奏活動に加え、作曲にも十分な時間を費やし充実した日々を送っておりました。 そのような中でバッハ作品の研究にも励み尊敬の念からバッハの名を主題にした曲を創作いたしました。

まず1855年から1856年にかけてオルガン版の初稿(S.529i)が書かれ、また同時期にピアノ版の初稿(S.260i)が書かれました。 この時点ではタイトルは「前奏曲とフーガ」と名付けられておりました。

そして1869年から1870年にかけてピアノ版の第2稿(S.260ii)とオルガン版の第2稿(S.529ii)が書かれております。 現在ではこの第2稿が通常演奏されております。 初版と第2稿において構成に大きな変更はなく、またオルガン曲とピアノ曲の間でもそれぞれほぼ相違はありません。 フーガの部分の展開については全ての版において同一です。

リストは1855年メルセブルク大聖堂のオルガン落成式での演奏のため曲の依頼を受けましたが間に合わず落成式ではリストの別の曲が演奏されました。 その後1856年5月13日にメルセブルクのオルガンでアレクサンダー・ヴィンターベルガーによって初演され献呈も彼に捧げられました。

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冒頭の左手に聴かれる印象的な主題はバッハのスペルBACHにそれぞれ音(シ♭ーラードーシ)をあてはめたものであり、全曲を通じてこのBACHの動機を変容させながら自由な展開を見せている事からバッハへのオマージュである事は明らかですが、一方でリストらしい前衛的な響きも聴くことができます。

リスト バッハの名による幻想曲とフーガ♫~シフラ

リスト バッハの名による幻想曲とフーガ♫~ソフロ二ツキー

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