ピアノ・ソナタ第29番作品106はベートーヴェンが作曲したピアノ・ソナタですが、全10曲ある4楽章制のピアノ・ソナタの最後を飾る大曲です。 「ハンマークラヴィーア」という通称で親しまれております。
作曲に取り掛かったのは1817年11月で翌1818年初めまでに第2楽章までが仕上がっており夏季を過ごしたメートリンクで後半楽章もおおよそ形になっていたものと思われます。 1819年3月までには浄書も含めて完成しており9月に出版されてルドルフ大公に献呈されました。
ベートーヴェンはシュタイナー社へ宛てた手紙の中で作品101以降のピアノ・ソナタに「ピアノフォルテ」に代わり「ハンマークラヴィーアのための大ソナタ」と記すように指定しております。 この事からその後この曲だけが「ハンマークラヴィーア」と呼びならわされるようになりました。
この作品の第1楽章から第3楽章まではウイーンのシュトライヒャー製の楽器で作曲され第4楽章は独特の音色を持つロンドン製のピアノで作曲したと言われています。 このロンドン製の楽器が後期の創作に決定的な影響を与えました。
第1楽章
ベートーヴェンはこのピアノ・ソナタにのみメトロノーム記号を書き入れています。 曲は序奏を置かず第1主題の提示に始まりその前段はかつてない壮大さを備えており、後段は対照的に穏やかな性格を有しています。
第2楽章
第3楽章
深い内容を湛えた大規模な緩徐楽章です。
第4楽章
♫ベートーヴェン ピアノソナタ第29番♫~ケンプ
♫ベートーヴェン ピアノソナタ第29番♫~ギレリス