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ベートーヴェン チェロ・ソナタ第3番 イ長調 作品69

2018年2月4日(日)、午後7時から豊中市立文化芸術センターでベルギーのチェリストのニコラ・デルタイユ氏とベートーヴェンのチェロ・ソナタ第3番を演奏致しますので、今日はベートーヴェンのチェロ・ソナタ第3番について書いてみようと思います。

2012年5月31日に阿部裕之先生と上村昇さんが大阪倶楽部で第3番を弾かれましたが、ベートーヴェンの雄渾さに満ちた素晴らしい演奏でした。 第3番はベートーヴェン中期の作品ですがピアノとチェロが対等に渡り合いチェロの魅力が発揮されている構想の大きな作品です。 大阪倶楽部での演奏はお二人の演奏家としての魅力が十分に発揮された印象に残る演奏会でした。

さてベートーヴェンのチェロ・ソナタは全部で5曲あります。

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ベートーヴェンはピアノとは異なりチェロには格別の演奏技術はなくデュポール兄弟などとの親交が動機となりチェロ・ソナタを作曲したと見られますが、チェロ・ソナタ5曲はチェロの新約聖書とされチェロ奏者には大切なレパートリとなっております。 ニコラ・デルタイユ氏もCDを出しておられます。

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初期に作品が集中したヴァイオリン・ソナタと比べチェロ・ソナタには初期・中期・後期を代表するような傑作を残しており、弦楽四重奏曲に次ぐ成功を収めたと評価されチェロソナタ5曲は室内楽作品上、重要な作品です。

5曲のチェロ・ソナタのうち最も広く知られているのが中期の「傑作の森」を代表する室内楽の3番です。 これはそれ以前のチェロとピアノのためのソナタが実質「チェロ伴奏付のピアノ・ソナタ」であったのに対して、この3番は歴史的に初めてチェロとピアノが対等な役割を与えられたといえます。

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第3番Op.69は1808年に作曲されたベートーヴェン中期の作品ですが、同時期に作曲された作品に第5交響曲「運命」や第5ピアノ協奏曲「皇帝」、「エグモント」序曲などがあります。 ベートーヴェンが聴覚の異常を自覚し出したのは1801年頃です。 「ハイリゲンシュタットの遺書」という手紙を弟たちに書いて苦しんだ時期もありますが、1808年と言えばその苦しみを乗り越えた後ですので、その中から生まれた第3番は第1番や第2番に比べるとチェロとピアノの掛け合いも自由でベートーヴェンらしい旋律にあふれた情熱的なスケールの大きい作品です。 また第3番はベートーヴェンが愛したウイーン郊外のハイリゲンシュタット村で完成した曲です。

ベートーヴェン チェロ・ソナタ第3番♬~リヒテル(ピアノ)、ロストロポーヴィツチ(チェロ)

べートーヴェン チェロ・ソナタ第3番♫~アックス(ピアノ)、ヨーヨーマ(チェロ)

べートーヴェン チェロ・ソナタ第3番♫~グルダ(ピアノ)、フルニエ(チェロ)

ベートーヴェン チェロ・ソナタ第3番♫~インマぜール(フォルテピアノ)、ビルスマ(チェロ)

また演奏会のチラシができましたらホームページとブログでご案内させて頂きます。

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