ピアニスト谷真子Official Blog「message」

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ショパンスケルツォ第2、3番とツイメルマン、アヴデーエワのピアノ

今日はショパンスケルツォ第2番、第3番とポーランドのピアニストのクリスティアン・ツイメルマンとロシアのピアニストのユリアンナ・アヴデーエワそしてドイツの巨匠ヴィルヘルム・ケンプについて徒然に書こうと思います。

ショパンスケルツォ第3番嬰ハ短調(1839)は私が中学3年になったばかりの時、恩師の勧めでプラハ音楽院で開催されるコンクールを受けに行った時弾いた曲で3位を頂いた思い出の曲です。 華やかで技巧的にもかなり難しいドラマチックな曲ですので一生懸命お勉強をした思い出があります。(プラハ音楽院の記事は7月26日に書いております。)

プラハコンクール

ショパンスケルツォ第2番変ロ短調(1837)は全日本学生音楽コンクールの中学生部門や高校生部門でも時々課題曲になりますが、大変感動的な美しい名曲です。 しかし音符で書かれたショパンの言葉をピアノで再現し美しい一冊の詩集にしようと試みると、辿り着けない奥の深いものがございます。

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ショパンスケルツォ第1番については昨日の8月15日のブログに詳しく書いております。 スケルツォ第1番は世界史的には七月革命が起きた頃、また祖国ポーランドではロシア領からの独立を願う若者のワルシャワ蜂起の事件が起きた頃作曲されたものです。 ショパンはその時にはすでにポーランドを離れていたわけですが、駆けつける事のできない焦燥がスケルツォ第1番には込められているのではないかと言われています。 中間部のクリスマスキャロルの部分はポーランドの人なら誰でもが知っている民謡が元になっていると、ワルシャワ音楽院(現ショパン音楽大学)の元院長ゲルジョード先生がお話されていました。 元の民謡「眠れ幼きイエス」の楽譜を下に掲載致します。 メロディーだけでも音を出されてみられたらと思います。 とてもきれいな心に染みる歌です。 私が中学生の頃の思い出ですが、ゲルジョード先生の思い出は7月27日のブログに詳しく書いております。 ゲルジョード先生の最近のyou tubeでのショパン演奏にもその記事の中でリンクしておりますのでお聴きき下さい。 ショパンは怒涛のような短い人生を生きた作曲家ですが常に祖国ポーランドへの郷愁を胸に抱いていたのではないかと思います。 ですが上の2曲はスケルツォ第1番とは少しショパンの込める心情はまた違うのではないかと思います。

ショパンスケルツォ第1番中間部クリスマスキャロル原曲「眠れ幼きイエス

クリスマスキャロル原曲

クリスマスキャロル原曲

7月27日のゲルジョード先生の思い出の記事(中学生)♪

EUROPE AFTER THE CONGRESS OF VIENNA(1815)

EUROPE AFTER THE CONGRESS OF VIENNA(1815)

EUROPEAN POSSESSIONS AT THE END OF THE 19TH CENTURY

19世紀終わりのヨーロッパ

それぞれの曲についての専門的なお話はピアノを通してのレッスンでないとお伝えしきれない所がございますが、今日は聴衆としてショパンを楽しむ事ができた良質のコンサートやお勧めのCDについて書いてみようと思います。

ショパンというとルービンシュタインコルトーのCDを擦り切れるほど聴いたという方が多いのではないかと思いますが、私が推薦したいもう1枚のCDにクリスティアン・ツイメルマン(ピアノ&指揮)、ポーランド祝祭管弦楽団演奏のショパン/ピアノ協奏曲第1・2番というCDがあります。

クリスティアン・ツィメルマンCDジャケット

ツイメルマンはショパンコンクールの覇者ですが録音スタジオも自分で作りオーケストラも自分で結成するという程の音楽へのこだわりの強いピアニストです。 ドイツの巨匠のアルフレッド・ブレンデルに負けないくらいの楽譜に忠実な真摯な演奏にピアニストとして誠実なものを感じます。

生の演奏は東京にいた時に東京芸術劇場へ聴きに行った事があります。 東欧のガラス工芸のような透き通る繊細な美音には息をのむばかりです。 ショパンに限らずベートーヴェンモーツァルトシューベルトブラームスとドイツ音楽にも高い実力の持ち主で私が新曲をさらう時は必ずチェックをするピアニストの一人です。

クリスティアン・ツイメルマン演奏会チラシ

プラハ国立美術工芸博物館ファイル

プラハ国立美術工芸博物館

ウイーンのロブマイヤー

ウイーンロブマイヤー

もう1枚珍しいCDにドイツの巨匠のヴィルヘルム・ケンプが演奏するショパンノクターン第3番が入っているCDがあります。これは広島世界平和記念聖堂のパイプオルガン除幕式でのケンプの言葉やピアノ演奏、ベートーヴェンについてケンプ自身が語っている声の入った非売品の「多才な音楽家の肖像」というCDですが(ケンプのベートーヴェンピアノ・ソナタ全集のCDに付いています。)、ショパンの演奏にも心打たれるものがあります。

ケンプCDジャケット

さて女性ピアニストですがやはりショパンコンクールの覇者でロシアのピアニストにユリアンナ・アヴデーエワというピアニストがいます。 テレビでモーツァルトのコンチェルトが放映されていたのを生の演奏会を聴いた後聴きましたが、録音機械では集録できなかったのか生の音の千変万化とは程遠いものがありました。 まだ若手の方ですが次回の来日でまた生の演奏が聴けるのを楽しみに待っております。

ユリアンナ・ァヴデーエワ演奏会チラシ

you tubeの方に私の中3の時のショパンスケルツォ第3番と最近の演奏の第2番をアップ致しております。

お聴き頂けましたら嬉しく思います。

ショパン スケルツォ第3番(中3)~谷 真子

ショパン スケルツォ第2番~谷 真子

8月15日ショパンスケルツォ第1番の記事

7月26日プラハ音楽院の記事