ピアニスト谷真子Official Blog「message」

ピアニスト谷真子公式サイトよりブログ「message」

シューマンとハンガリー国立セニーチェ図書館

今日はシューマンについて徒然に書いてみようと思います。 シューマンと聞くと私には文学を愛した音楽家というイメージがあるのですが、妻のクララ・シューマンとの数多いエピソードでも有名な音楽家です。 ロベルトとクララの二人の往復書簡集が各国語に訳されて出版されておりますが、東京の本郷にあるアカデミア・ミュージックという輸入の楽譜や音楽書を扱っている書店で以前イタリア語の書簡集を見つけ求めました。 挿絵と構成の素敵な本ですが簡単なイタリア語ですので楽しく読めるかと思います。 装丁の一部ご紹介致します。

クララとロベルタの往復書簡集

アカデミア・ミュージック公式サイト

さてyou tubeに抜粋をアップしておりますシューマンの幻想小曲集Op.12は私が高校1年の時、第5回高校生国際芸術コンクールで入選した曲です。 初めは9曲の小品から成る曲でしたようですが1838年出版されるにあたって8曲にカットされたようです。第2曲の「飛翔」は良く発表会などでも単独で弾かれ有名ですが、本来は全曲で一つのシューマンの詩集となっているのではないかと思います。 標題は後からシューマンが付けたようです。

シューマンの幻想小曲集は元日本ベーゼンドルファー社代表の吉澤直記氏に高1の時この曲を聴いて頂いて大変音が美しいとお褒めの言葉を頂いた思い出の曲でもあります。(8月3日のブログに吉澤直記氏のお話を書いています。)

専門的な事はピアノを通してのレッスンでないとなかなか伝えきれないところがございますが、またyou tubeの演奏を聴いて頂けたらと思います。

ところで私は今大学の博士課程前期課程で「シューマンの幻想曲Op.17における演奏法と解釈」という論文を書きピアノ演奏の側面補強としております。 楽譜が出版される前の自筆譜というのは作曲家の心が素直に表れていますので、それを見るとピアニストは暗示を感じイマジネーションが広がってまいります。ファクシミリでも手に入れば是非見てみたいとピアニストは考えるものですが、シューマンの幻想曲の自筆譜は誰か個人の方の所有になっており閲覧する事はできないようです。 ハンガリー国立図書館に限りなく自筆譜に近い写譜が保管されていると聞きハンガリー国立セ二ーチェ図書館に問い合わせたところ親切に対応して下さりCD-Romで送って下さいました。 音楽をしている私にはそれを再生する時の気持ちには心高ぶるものがあります。

ハンガリー国立セニーチェ図書館ではモーツァルト/ピアノ・ソナタK.331の自筆譜の楽譜が最近発見された事でも話題になっております。

ハンガリー国立セニーチェ図書館公式サイト

ハンガリー国立セニーチェ図書館

ハンガリー国立セニーチェ図書館

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音で表現する事を言葉で表現するのは思いの外難しいものがあり、プライベートで師事するピアニストの阿部裕之先生にはピアノレッスンを通して多くの事を教わっております。 ラヴェル「鏡」メンデルスゾーンピアノ三重奏曲読譜しておりますので練習と論文の作成との時間配分に少し苦労致しております。(8月1日のブログに阿部裕之先生のお話を書いております。)

ピアニストというお仕事は自宅にいながら時空を超えて旅をしているようなもので、ある時は飛行機で世界を飛び回りまたある時はタイムマシーンで過去に言ったりとしているお仕事です。 厳しい長い道のりを経てなれるわけですが、ピアニストにしか分からない喜びも多くございます。 今は結果のなかなか出ない事は敬遠される時代ですが、こんな時代だからこそピアニストという仕事は必要なのではないかと思っております。 ピアニストになりたいけど、どこに行けばなれるのか、どうすればなれるのか分からないというお子さん方には私の経験が少しでも役に立てばと思っております。

作曲家の木(MADE IN FRANCE)

作曲家の木

古代書物の原型(VATICANA)

書物の原型

現代画家カンディンスキー(GERMANY)

カンディンスキー展チラシ

高1の時の幻想小曲集抜粋と最近の幻想曲全曲をyou tubeにリンク致しますのでお聴き頂けましたら幸いです。

シューマン/幻想小曲集Op.12より

シューマン/幻想曲Op.17

8月1日阿部裕之先生の記事

8月3日元日本ベーゼンドルファー社代表吉澤直記氏の思い出の記事