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ドビュッシー チェロ・ソナタ 二短調、12の練習曲

MESSAGE(8月30日1稿目)

モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

チェロという楽器は何故か人の心に染み渡る音色を持っている魅力的な楽器ですが、私が今までソロで生を聴いたチェリストはミッシャ・マイスキーと上村昇と宮田大とニコラ・デルタイユ各氏の4人です。

どなたも世界的な素晴らしい演奏家の方ですがそれぞれに個性がありいつもチェロの音には心を癒されて帰宅致します。 ピアノも人の声のような、そしてチェロのような音が出せればと日々練習をしておりますが高い目標です。

さてドビュッシー(1862~1918)のチェロ・ソナタですが、この曲はドビュッシー最晩年の作品で(1915)当初は「いろんな楽器のための6つのソナタ」を作る構想だったようですが、3つ完成したところでドビュッシーは亡くなり未完に終わったようです。 しかし3つのソナタはどれも名曲でそれぞれ今も多くの演奏家に愛奏されております。(「バイオリン・ソナタ」、「フルート・ヴィオラとハープのためのソナタ」、「チェロ・ソナタ」)

ドビュッシーのチェロ・ソナタは第1楽章がPrologue 第2楽章がSerenade 第3楽章がFinalとなっておりますが、第2楽章と第3楽章はアタッカで結合されており続けて演奏されます。 

お聴きになられた事のない方も多いと思いますのでyou tubeにアップしておりますニコラ・デルタイユさんと私の演奏にリンク致します。

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ドビュッシー チェロ・ソナタ第1楽章~ニコラ・デルタイユ(チェロ)/谷 真子(ピア)♫

ドビュッシー チェロ・ソナタ第2・第3楽章~ニコラ・デルタイユ(チェロ)/谷 真子(ピアノ)♫

ドビュッシー チェロ・ソナタ♫~アルゲリッチマイスキー

ドビュッシーについては各種の文献が出されており私も演奏する際にはこれらの本に目を通すわけですが、今日はドビュッシー本人が書いた評論とインタビューが集められ一冊の本としてフランスで出版されたものを、日本語に翻訳した本がありますのでそれをご紹介したいと思います。 評論の方は生前ドビュッシー自身が選んだ自選集のようです。

「Monsieur Croche autres ecrits」(1971)~Francois Lesure編集・校訂 ガリマール書店

ドビュッシー評論集~音楽のために」 杉本秀太郎訳(フランス文学者) 白水社

ドビュッシー評論集 杉本秀太郎訳 白水社

ドビュッシー評論集目次

ドビュッシーの曲でもう1曲ご紹介致したいと思います。 「12の練習曲」の中の11曲の「Pour les arpeges composes」(アルぺージョのための」という曲です。 「12の練習曲」はドビュッシーの遺言書とも言える晩年の曲ですが、彼のピアノ書法が全て表されておりこの曲の後はピアノ独奏曲は作曲しておりません。 ギーゼキングを始めこの曲は何枚かCDを所有しておりますがその中で貴重なCDをご紹介したいと思います。

安川加寿子 ドビュッシー・ピアノ音楽全集

 安川加寿子 ドビュッシー・ピアノ音楽全集

安川加寿子さんはメトードローズやラジリティなどの教則本の校訂でもお名前が知られている日本を代表される女性ピアニストの方ですが、生まれてすぐフランスに行かれ18年間フランスで育たれたそのエレガントな優美さは今の私達にとっても憧れのピアニストの方です。

you tubeには安川加寿子さんのこの曲はアップされていませんので内田光子さんのドビュッシーの「12の練習曲」のコンプリート版にリンク致します。 「アルぺージョのための」は第11曲になります。

ドビュッシー「12の練習曲」~内田光子

フランス近代風景画展図録より

ちなみにyou tubeドビュッシーの「12の練習曲」より第11曲の私の演奏もアップしております。 よろしければお聴き頂ければ嬉しく思います。

ドビュッシー 「12の練習曲」より第11曲「重複するアルぺージョのための」~谷 真子

最後に、この記事の初めのドビュッシーのチェロ・ソナタで登場しましたベルギーのチェリストのニコラ・デルタイユ氏のCDをご紹介致します。

F. Schubert 「アルぺージョとピアノのためのソナタ」D821

チェロ~ニコラ・デルタイユ/ピアノ~パウル バドゥーラ=スコダ(ウイーンを代表する巨匠の方です。)

ニコラ・デルタイユCD

アルぺージョという古楽器で演奏されたシューベルトのアルぺージョ・ソナタですが心癒されるベルギーのニコラ・デルタイユ氏のアルぺージョの音色とウイーンのスコダ氏の熟練されたピアノを楽しめるのではないかと思います。

Nico;as Deletaille公式サイト(現在ベルギーブリュっセル王立音楽院准教授)♪

ドビュッシーの「12の練習曲」については別に詳しく書いておりますのでそちらもお読み頂ければと思います。

ドビュッシー 12の練習曲 ブログ