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リストのバラード第2番ロ短調は1853年ワイマールで作曲された作品ですが、同時期に作曲された作品には同じロ短調のピアノ・ソナタがあります。
この作品は、ニューヨーク・タイムズのJ.ホロヴィッツ氏とアラウとの対話による「アラウとの対話」(みすず書房)の本によると、ギリシャ神話のヘーローとレアンドロスの物語に基づいて書かれた叙事詩だそうです。
ヘーローというのはギリシャ神話の中に出てくる女神アフロディーテの女神官で、青年レアンドロスと恋に落ちへレスポント海峡を泳いで渡ってくるレアンドロスのためにランプをともして毎夜レアンドロスを導いていた女性の事です。 しかしある夜レアンドロスは嵐に巻き込まれ溺れ死んでしまいます。 悲しんだヘーローは後を追って身を投げて死んでしまうというお話です。
アラウによると唸るようなテーマはへレスポント海峡を泳ぐレアンドロスを表しているそうです。 唸るテーマとロマンティックなヘーローのテーマが交互に表れ曲が進むにつれ嵐のような激しさを増していきます。 終結部はレアンドロスへの追悼の哀歌を表しているのだそうです。
「アラウとの対話」を参考にしながら楽譜に添ってドラマの説明をしていきたいと思います。
レアンドロスは毎夜へレスポント海峡を泳ぎ渡ってヘーローの許に通い翌朝また泳いで帰ります。 その往復が毎回困難になり4日目の夜にレアンドロスは溺れ死にます。
レアンドロスが初めてへレスポント海峡を泳ぎ渡る様子です。
ヘーローのテーマです。
嵐の気配を感じる第2夜です。
ヘーローのテーマです。
恐ろしい嵐が始まる第3夜です。
激しい波がおそってきます。
ヘーローのテーマです。
愛のテーマです。 レアンドロスは向こう岸に必死で辿り着こうとします。
最も激しい嵐の第4夜です。
レアンドロスの最後のあがきです。
レアンドロスは溺れ死にます。
ヘーローの不安を表します。
弔鐘が鳴ります。
肉体から魂が離れヘーローの追憶の世界です。
水との戦いと幻影です。
レアンドロスへの別れです。
♫リスト バラード第2番♫~ジョルジュ・シフラ(スコア付き)
♫リスト バラード第2番♫~クラウディオ・アラウ(映像付き)
明日はプロコフィエフの「ピーターと狼」について書きます。 オーケストラのいろんな楽器に親しめるように楽しく楽器が物語の登場人物の代わりに紹介されていきます。 老若男女の皆さんで楽しめると思います。