ラヴェル(1875~1937)の「ソナチネ」は、「水の戯れ」の少し後「鏡」と並行して1903年から1905年にかけて作曲されたピアノ曲で、1906年3月10日リヨンでポール・ドゥ・レスタン夫人によって初演されました。
ラヴェルの友人のゴデブスキ夫妻(イーダとシーパ)に献呈されましたが、ゴデブスキ夫妻の子供のジャンとミミには後に連弾曲「マ・メール・ロア」も献呈されております。
この曲はラヴェルがある音楽雑誌主催の作曲コンクールのために書き上げた曲で、小節数の規定のため小規模な作品となっておりますが、入選したのはラヴェル1人だけだったそうです。
ソナチネというタイトルは作品の難度ではなくラヴェルの古典様式への傾斜を映し出しているに過ぎません。 きりりと引き締まった古典的な佇まいの中に美しく多彩なそしていかにもラヴェルらしい素晴らしく洗練された楽想を配した名作です。 その完成度の高さは名匠の手で磨き上げられた宝石を思わせます。
第1楽章 モデレ
ソナタ形式の優しいメランコリーをたたえた曲です。 コンパクトにまとめあげられた中で新鮮な響きや流麗な美しさが印象深い楽章です。
第2楽章 メヌエット
繊細で高貴な旋律を持ったメヌエットで中間部を経てやや変形されて再び現れますが古典的なフォルムは失っておりません。
第3楽章 アニメ
循環形式のソナタを形作っております。 わきたつばかりの喜びに溢れる終曲は「青春と練達の妙技が混然一体となった名作」とのロマン=マニュエル(1891~1966)の讃辞にふさわしい終曲です。
ペルルミュテール
モニク・アース
ポール・クロスリー