ベートーヴェンは全部でピアノ・ソナタを32曲書いておりますが、作品109はベートーヴェン後期作品の一つのピアノ・ソナタです。ベートーヴェン晩年の特徴であるようにこのOp.109以降においてはロマン的で自由な楽想の中の圧縮されたソナタ形式が特徴としてあげられると思います。
1820年秋頃に完成されたと推定されますが、第1楽章はストイックなまでに切り詰められ、それに対して第3楽章は変奏形式による大きな広がりを持っております。
第1楽章
第1楽章は速度と拍子の異なる楽想を一つにまとめ上げており、当時のベートーヴェンが関心を持っていた挿入節的な構成概念が反映されております。 無駄のない形式の中に込められた曲の内容は幻想的でそれまでのベートヴェンのピアノ・ソナタには見られなかった柔軟性が示されております。
第2楽章
第3楽章
主題と6つの変奏からなります。 全曲の重心のほとんどはこの第3楽章に置かれており変奏曲がこれほどの比重を占めたのはベートーヴェンのピアノ・ソナタでは初めての事でした。
♫ベートーヴェン ピアノソナタ30番♫~アラウ
♫ベートーヴェン ピアノソナタ30番♫~ギレリス