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シューマン 交響的練習曲 作品13

MESSAGE

モーツァルトのクラビコードとピアノフォルテ

1834年から1837年にかけて作曲されたピアノ曲の大作のシューマンの「交響的練習曲」は、独奏的なピア二ズムと楽器を交響的に扱う表現力の豊かさでピアノ作品の中でも名作と言われ独特の地位を保っている作品です。

主題と12の練習曲から成立しておりますが、もとは18の練習曲から成立しておりました。 シュ―マンはその内6曲を削ってしまいましたが、彼の死後ブラームスがこの曲の編集を行った時にシューマンが削っていた曲の中から5曲を復活させました。 それは現在「遺作変奏曲」として演奏されております。 この「遺作変奏曲」の5曲は12の練習曲の曲間のどこにでもピアニストが自由に挿入でき、どこに挿入して演奏するかは各ピアニストによって違っております。

この5曲の「遺作変奏曲」にはシューマンのオイゼビウス的側面が色濃く出ておりそれをどう扱うかによってピアニストの解釈がよく分かります。

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オイぜビウスとは?

シューマンの夢想的で内向的側面の事。 反対に情熱的で外交的な側面をフロレスタンという。 シューマンペンネームで両方を使い分けており全作品に見えるシューマンの性格である。

主題は作曲当時24歳だったシューマンが思いを寄せていたエルネスティーネ・フォン・フリッケンの養父で音楽好きのフリッケン男爵の作曲したフルート独奏のための変奏曲の主題をもとに書かれております。 そのアマチュア楽家の書いた主題をシューマンは見事に深い響きと豊かな色彩の音楽に変身させております。

主題のモティーフのC#-G#-E-C#が分散したり伴奏に潜り込んだりして全曲に渡って使われております。 第1練習曲は跳躍するようなリズムの快活な曲です。 第2練習曲は交響的な新しい響きとなっております。 第3練習曲は静かな内声の歌い方が心に響きます。 第4練習曲から第6練習曲は曲の中枢部分で充実感に溢れた音楽です。 第7と第8練習曲も中枢部分の続きで表現が多彩です。 第9練習曲は毅然とした曲想で曲をしめております。 第10練習曲・第11練習曲はダイナミックで快活なリズムです。 そしてフィナーレへと導かれます。

シューマン 交響的練習曲♫~エフゲニー・キーシン No.1

シューマン 交響的練習曲♫~エフゲニー・キーシン No.2

シューマン 交響的練習曲♫~エフゲニー・キーシン No.3

シューマン 交響的練習曲♫~リヒテル

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交響的練習曲CD~アルフレッド・ブレンデル

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交響的練習曲CD~エフゲニー・キーシン

火曜日はリストの3つの演奏会用練習曲 S.144から 「ため息」について書きます。 この曲はフィギュアスケート宮原知子選手が今季のフリーで使用している曲ですが甘美な詩情にあふれた美しい曲です。